「なんでヌーヴォはピンキリなの!!?」の正体とは
マセラシオン・カルボニックとマセラシオン・セミ・カルボニック(マセラシオン・ナチュラーレ)
「マセラシオン・カルボニック(MC法)」とは、直訳すると、炭酸ガス(二酸化炭素)充填法。主にネゴシアン(ワインメーカーのこと)や協同組合のような、大規模生産をする業者で行われている、人為的に炭酸ガスを密閉タンクに充満させる方法。それに対してマセラシオン・セミ・カルボニックというのは葡萄の発酵で生ずる炭酸ガスのみを使う方法で、伝統的な完全手作業で自然な力を引き出す作り方。
ボージョレー・ヌーヴォが出来るまで
①葡萄を手摘みで収穫。
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②醸造所にて密閉できる発酵槽の中に収穫した葡萄を房のまま入れる。
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③いっぱいになったら発酵槽のフタをして密閉する。
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⑤詰め込んだ葡萄自体の重みで、下の方の葡萄の実が潰れ果汁が出る。
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⑥果汁に酵母菌(葡萄の実や果梗についている天然酵母菌)が反応して発酵が始まり、炭酸ガスが出る。
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※このとき酵母菌が少なく、反応が鈍い場合は枝を入れる(枝には沢山の菌が付いている)。または、畑で採取した菌の培養酵母を加えるところもある。
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⑦充満した炭酸ガスが葡萄の皮の細胞膜を破壊、赤い色素アントシアニンが出やすくなる。
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⑧マセラシオン・セミ・カルボニックでは炭酸ガスにより細胞が膜破壊されるまで、4~5日。年によっては10日程要する。一方、大手のマセラシオン・カルボニックでは、とっても早く2~3日で終了。
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⑨この後、除梗(果実以外を取り除くこと)、果実は破砕し残った皮や種もプレスされ、果汁のみ発酵。
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⑩美味しいヌーヴォは、伝統的な、この自然の力による作り方により誕生します。
ボージョレー・ヌーヴォの最大の特徴は、葡萄を炭酸ガスに漬込むことで、短い期間で赤い色素が出て、フレッシュで色鮮やかな赤ワインができる。現在確認できている作り方には3タイプあり、そこに価格の違いのヒントが・・・。
1.
伝統的な浸漬法
マセラシオン・セミ・カルボニック
葡萄を房ごと、蓋をしたタンクに詰め込み、20~25度の温度で5~6日間(最大10日間)発酵によって自然に発生した二酸化炭素の中で浸漬。ガメイ種のもつフレッシュな果実味、滑らかさが出る。(マセラシオン・ナチュラーレ、または、マセラシオン・ボージョレー法とも呼ばれる)
Ch. Tour Goyon “HARMIE Beaujolais Villages Nouveau”はこの製法で醸造。しかし、現在では採用しているところが少ない希少品。
2.
炭酸ガス浸漬法
マセラシオン・カルボニック
大手ネゴシアン、協同組合など、ボージョレー
ヌーヴォの一般的なつくり方とされている。タンクにボンベで二酸化炭素を充満させ、葡萄を房ごと投入。
密封したタンクで空気を全く通さず2~3日間浸漬する方法。
より簡単に色や香りが出て早く仕上がる。安定剤(発色剤)の使用有も。
3.
高温浸漬法
マセラシオン・ア・ショー
低価格帯(ペットヌーヴォや、量販物)大手メーカーから中堅まで広く採用されているが、集めた葡萄をタンクに入れ、約70度という高温の蒸気で2~3時間加熱。
果皮細胞を破壊し 色素を抽出しやすくし、短時間で製造できる。
葡萄天然酵母は死滅するために、発酵には人為的に酵母を足す。
安定剤の使用有。葡萄本来の味わいとはいいがたい。